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肉体装甲 プロテクター 特別編 一話


「ぐ…う、く…」
目が覚めた。
白い天井が回っている。気分が悪い。起き上がり、首を二度、三度、コキコキと鳴らした。
「ここは…」
無機質な白い壁が、のっぺりと上を覆っていた。見たこともない光景だった。しかしその見覚えがない造りから、想像が出来た。

「く、畜生!」
怒りに身を任せ、拳を地面に叩きつけた。叩きつけた先、腕には着けた覚えのないリングが、プロテクトスーツの上に噛み付いていた。
憎むべき組織に捕われ、あまつさえ生かされている。正義のヒーロープロテクターにとって、その事実は死より悔やむべきものだった。盛り上がった背中が震え、ギリギリと拳が音を立てた。

直前の記憶がない。ここにいるという事は、何処かで何らかの失態をした。その筈だ。だが、思い出せない。そんな不確かな記憶だが、しかしその頭がぼんやりとしているかといえば、そうではなかった。むしろその逆、組織への怒りと、己の不甲斐なさに冴えている程だ。
立ち上がり、改めて全身を確認する。
体には不気味な程何の変化もなかった。ゴツゴツとした岩のような腕、それに連なり硬く盛り上がった胸、肩。その下、よく張った腹に、全身を支える分厚い足。それらは隈なく、紫色の光沢を放つプロテクトスーツで覆われている。
ただ唯一の違いは、両腕と両足、手首足首に計4つ、白いリングが取り付けられていることくらいだ。

「ふん!」
グローブを強く握り、拳の肉を膨らます。もう片腕で、腕輪を強く握り締める。
びくともしない。
当然だろう。外れる拘束具に意味はない。そんな間抜けな組織と闘ってきたつもりはない。
「くそ!情けねえっ!クソッ!」
罵る言葉とともに、飾り一つない白壁を殴りつける。
どしん、どしんと、体は揺れるが、壁にはひび一つ入らない。
頭の隅で無駄だと分かってはいたが、熱い心が、愚直なまでの正義の味方の本能が、打ち付ける拳を止められない。

しかし何故。
自分が闘ってきた相手は確かに強大だった。この体も何度となく傷つき、苦しんできた。
しかしそれでも、こうも無力を感じた事などなかった。捕えられているからとはいえ、こうまで己の力が打ち負けるのなら、今日まで戦えてきたのも妙な話だ。
「何か…おかしい」
あるいは、新たな敵組織なのだろうか。
「どうする…、どの道、いつまでもこうしてるわけにゃあいかねえ…」
このまま何もしなければ、いずれにせよ地球の危機だ。無為な時間を過ごす訳にはいかない。
しかしどうすればいい…?

考えの纏まるその前に、事態の方が先に動きを見せた。
「やあ、お目覚めかい」
壁としか見えなかったそれが開き、一つの影が視界に現れた。
研究者ですと、体で語っているような、そんな装束。白衣に近いが、ゴテゴテとした装飾のそれは人間の着ているものではなかった。顔には巨大な機器が全体を覆っている。素肌が何処からも見えない、息の詰まるような格好だ。
初めて見る姿だった。
「ナニモンだ、てめえ」
「まあどうでもいい事でしょう、私の名前なんて」
確かに、どうでもいいことだ。新しい幹部だろうと、別組織の主だろうと。もし殴れるようならば、すぐにでもその口が二度と開かないようにしている。
「えー、これからあなたには、我々の実験を手伝って頂きます」
「首、縦に振るとでも思ってんなら、その格好も随分見かけ倒しだな」
怒りすら沸かない。滑稽だと。口元にだけ笑みを作ってプロテクターが返した。しかしその目、バイザーから覗くそれは、鋭いままだ。
「悪党の手伝いするくらいなら…」
「死んでやる。でしょう、はいはい」
小馬鹿にしたような態度で、男が先を口にする。
元より温厚そうではないプロテクター顔つきが、さらに厳つさを深くする。青筋を増やし、歯を立てる。

「まあ、そう目くじらを立てないで、本当に簡単なものですから」
簡単だろうと、難しかろうと、そんな事は関係ない。
正義の為ならばこの身を燃やし、灰にするのも厭わない。だが悪の糧となるのならば、爪の垢すら捧げるのは御免だ。
だが、しかし…。

隙を窺うにも、相手の出方を見るにも、このまま拒んでばかりでは平行線だ。地球の平和の為にも、もたもたしている暇はない。

「どうせ無理にでも、なんだろ…。連れてけ…」
奴らは油断している。
ならば、より一層にそれを深めて、そこを突く。
決意の返答をしたプロテクターだが、それを受ける男の姿は変わらず、どこか面白がる風だった。


連れていかれた先は、中程度に広い部屋だった。白一色のあの部屋も不気味だったが、しかしこの部屋に比べれば何倍もマシだ。
奇っ怪な容器や、それに連なる大小様々な管、様々な液体が粘度を保ったまま滴っている。
何に使うのだろうか、分かったものではない。しかしプロテクターにとっては、おぞましいものだという判断だけで十分だった。

隙を見つけて、必ず叩き壊してやる。
ギリギリと、拘束された腕に血が通う。瘤の浮いた二の腕をさらに力ませる。
部屋から出た瞬間から、プロテクターの両腕は磁石のように一つに繋がれていた。両腕についた輪が、元から一個のモノであったかのように吸い付いている。
足だけで闘うか。いや、しかし足にも同じ機械が嵌められている。
コントロール元を探さなくては…。何とかして…。

「こんな状況だというのに、本当に律儀な方だ」
「…」
「何の報酬があるという訳でもないのに、他人の為によくもそんなに…」
「…」
「もっと御自分の為に生きた方が楽しいでしょうに…」
「黙ってろ。で、何させようってんだ」
「ははは、楽しみなのは分かりますが、まあそう焦らずに。こちらもまだ準備するモノがありましてね」
ふざけやがって。
慇懃無礼な態度を崩さない男だが、その言葉一つ一つがプロテクターの誇りを踏みにじっている。それに耐えるだけでも、既に拷問のようだった。

「おお、丁度いい頃合いでしたね。もう一匹の主役がやってきましたよ」
その言葉と視線の先、プロテクターが前を向く。正面の通路には異形の者の姿があった。猿人を一回り醜くしたような化物が、偉そうに大股で闊歩している。
「おら、キリキリ歩け、てめえは本当に使えねえ、ナ!」
声と共に、腕を引く。その手の鎖が音を立て、さらに先の大きな影に重い音を上げさせた。四足で立っていた姿が、折れてぐしゃりと崩れている。
しっかと立った隣の猿人と違い、その姿はどこまでも惨めだった。
「も、申し訳…ありま…せん…ぅ」
その声もまた、姿同様情けないものだ。これだけの扱いにも関わらず、興奮しているように息が上がっている。

「…な…な…っ!」
「おや、どうしました?」
その姿に、プロテクターの全身から汗が引いた。喉が干涸びる。絶えず力んでいた腕が、力をなくす。
小さな呻きは声なき悲鳴のようだった。

見覚えのある姿だった。そして最も恐ろしい姿だった。
四角い体。がっちりとした太い腕。太い腿。少し突き出た、しかし脂肪だけではない腹。そしてそれらを包み込む、紫色の光沢のスーツ。

プロテクター。

そこにいたのは、紛れもなく鏡や水面に見た自分の姿。正義のヒーロープロテクターの姿だった。
そんな事はありえない。あってはならない筈だった。しかし、あちらに鏡があるとも思えず、立体映像にしてはその匂いすら近くにある。むわりとした汗の臭い、ツンとした雄の臭いが。
それでも信じられなかった。信じられる筈もなかった。

「オラ、命令一つ守れねェのか」
「はい…、ハイ…ぃ」
突き出したな尻を左右に振りながら、ぼとぼと涎を撒き散らす。
その顔には、ヒーローとしての覇気どころか、男の尊厳すら微塵も残ってはいない。
「はい、ただ…いま…、どうぞ…この情けないヒーローにお慈悲を…」
自分の声で、敵に向かって媚を売る言葉が聞こえる。永遠に聞くことはないだろう言葉が、確かに耳に届く。

どんな困難にも、どんな敵とも負けず前を見てきた。しかしその光景は目を塞ぎたくなるものだった。
太く厳つい声が、下品な響きで上ずり溢れている。それも、憎むべき敵の、汚らしい怪人に向かって。

「どうですか、随分と協力的でしょう」
「な、なんだ…」
何だコレは。
その短い言葉すら、口が固まり発せない。
「何って、プロテクターですよ。ご存じないんですか」
「ふざ、けるな…っ!」
お、俺はここにいる…あれ、あれは…!
「紛れもなくあなたですよ。もう一人の」
息を詰まらすプロテクターの横を通り、四つん這いのプロテクターへと足を進める。盛り上がった背筋を足を撫る。その足に命令され、プロテクターが顔だけを前に向けた。
屈辱的な感触にも難色を示す事なく、むしろ喜んでその逞しい背を差し出している。そんないやらしい顔だった。
「大量の薬物の洗脳兵器、昼夜を問わず快楽漬け。まあ手間は掛かりましたが、今ではこの通り…」
足が踏み下ろされ、四足の体が横へと崩れ落ちた。
「立派な奴隷ヒーローです」
「が!…おぉ、お…ひ…ん」
上がったそれは、怒りの声どころか歓喜の喘ぎにも似ていた。

「俺に、俺にどんなに似せたって…。これは」
俺は例えどんな目に合っても、あんな魂を売った惨めな姿には…。
目の前の光景を否定するように、自分に言い聞かすように、プロテクターが霞んだ声で呟いた。
「ハハ!その割にゃあ随分な驚きようだナぁ。これが偽物に見えるか、ん?」
倒れたプロテクターの前にしゃがみこみ、猿男がその顎を掴んで見せる。
「ア?クソ、コイツ涎たらしっぱなしジャねえか、汚れちまッた…クソが」
捨てるようにして、その顔を地面へと投げ捨てる。
「申し訳、ありません、ど、どうぞお拭きになって欲しい…ッス…」
顎を打ち付けたプロテクターはすぐに立ち上がると、猿男の手に向かってその体を差し出した。胸と腹を突き出し、プロテクトスーツの汚れていない部分を強調する。
「ったく、仕方ねエか。てめえの汚ェ体じゃたいして変わんねエよ」
「ああ、も、申し訳!おぉ!おお!」
ベタベタと体を触られる。汚れを擦り付けられる。その感触に、プロテクターが謝罪と同時に喘いで吠える。
膝立ちの足の付根、もっこり膨らんだ股間には痴態を表す染みが浮かんでいた。そこが声と同時にビクビクと勃ち上がる。

「やめ、ふざけ…ふざけんな…」
ヒーローとしての誇り。鍛え上げた肉体とスーツとが、同時に汚されている。にも関わらず、あの自分と同じ姿の男は、屈辱どころか快楽を感じている。
目眩がした。
もし仮に、あれが同じプロテクターならば、どれだけのデータが詰まっていることだろう。力も、スーツも、全て解析されているならば、奴らのこの余裕も、この拘束具も納得がいく。
恐ろしいことだ。

しかしそんな絶望より、尚深くプロテクターの心には暗雲が乗し掛かっていた。
俺は、俺はあんな。
俺は違う。
あれは、…あれは。

目が合った。
鏡と違い、まるで違う表情をした同じ顔。どろんととろけたその瞳は、恥じることも背けることもなく、ただプロテクターを見返していた。



つづく


  1. 2010/06/02(水) 21:47:53|
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